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海外オタクの反応】サルでも分かる竹熊教室

サルでも分かる竹熊

たまにはアカデミックな話題を取りあげようかな。漫画評論家の竹熊健太郎のブログ「たけくまメモ」の記事がある外国人ブロガーによって翻訳されてちょっとした反響を呼んでいる。コメントの数はそれほどではないのだけれど、妙にたくさんのリンクが海外のサブカル系サイトに貼られているのだ。
翻訳された「たけくまメモ」の記事はこれである。

マンガとアニメーションの間に(4-1) 第四回「マンガ版『ナウシカ』はなぜ読みづらいのか?」(1)
マンガとアニメーションの間に(4-2) 第四回「マンガ版『ナウシカ』はなぜ読みづらいのか?」(2)

翻訳したのはサブカル系ブログwelcome datacompの管理人kransom氏。現在は日本に居住しているとか。ここのブログは翻訳シリーズ以外にもなかなか興味深い記事が多い。下が氏の翻訳記事だ。

Japanese Lecture/Blog Post Translation: The Space Between Anime and Manga:#4: Why is the Manga Version of Nausicaa So Hard to Read? by Takekuma Kentaro

翻訳の経緯は序文に詳しく記されている。

はじめに: この記事が新たな連載シリーズ―多大な喜びを与えてくれる漫画・アニメ等の視覚文化に関する日本人ブロガー・批評家による論説の翻訳―になることを私は望んでいる。莫大な量の興味深い論文が日本では発表されているのだが、実に残念なことに日本の外側にいるファンたちがそれらを目にする機会はほとんどない。私はこれらの記事が英語圏と日本語圏のファンをつなぐ掛け橋になることを願っている。

(中略)

これは竹熊健太郎(『サルでも描けるまんが教室』の共著者として有名)のブログの記事の翻訳である。京都精華大学で行われた彼の講義「マンガとアニメーションの間に」の一部”マンガ版『ナウシカ』はなぜ読みづらいのか?”がブログの記事の元になってる。

幸運なことに私はこの講義の最後の2回に出席する機会に恵まれ、そのときから将来翻訳しようと考えていた。このたび非常にありがたいことに竹熊先生から訳出の許可を得ることができた。翻訳文書の書式はできる限りオリジナルに忠実に従うようにつとめた。一部のブラウザーで文字バケが発生する矢印や円記号に関してはオリジナルの講義の資料に従って適切なものに置き換えた。

この翻訳が講義の資料を元にしている点に注意してほしい。竹熊先生がどのように問題を取り扱っていたかを理解するための手掛かりを与えてくれるだろう。繰り返しになるが、どのようなコメントでも歓迎なので自由に書き込んでほしい。では論文を楽しんでほしい。


以下この記事についたコメント。

km
マンガの読みやすさ・読みにくさが読者の視点のついての日本式の特殊な手法にもどづいていることに驚きをおぼえた。一般的に言ってマンガは流れが良くてアメリカン・コミックよりずっと早く読める。個々のコマ割りの作用は興味深い。ナウシカをオリジナルの版組で読みたくなってきた。

Sean
翻訳ありがとう。

宮崎の手塚批判はちょっと奇妙だね。西洋でみかける”学者の尊敬”《訳注:批判的・敵対的に敬意を払うこと》の一種と考えればいいのかな。

不思議なことに、先週ブックオフでナウシカの第1巻を買ったばかりなんだ。まだ読んでないけど。

norio.k
面白かった。最初にナウシカを読んだとき私が議論したかった多くの点に触れていたからね。数ヶ月前にVizの8.08"x5.56サイズの完全版宮崎画集を購入したけど、サイズが小さすぎて目が痛くなったよ…

squiddy
「コマが絵として完成しすぎている」という批判は理解できない。たぶん翻訳のニュアンスの問題なのかな? いずれにしろ、ナウシカはコマからコマへ水が流れるようにスムーズに連続しているように私には見える。緻密な背景描写についても欠点ではなく長所ではないだろうか。

JRB
興味深い。翻訳ありがとう。竹熊による初期のナウシカに対する批判は、マンガと他のコミックの間の伝統的なスタイルの違いにいくらか原因があるように思える。ナウシカは1970/80年代のヨーロッパの前衛的なコミックに多くの点で非常によく似ている。たとえば密度の高いコマ割りと緻密な背景描写などだ。

私が思うに「読みづらい」という竹熊の批判はマンガが極めてすばやく読まれることが前提となっている事の反映なのだと思う。これとは逆にアメリカやヨーロッパのコミックは非常にゆっくりと注意深く読まれることを前提として描かれている。

JE says:
とても楽しく読めた。宮崎と手塚の間にこんな緊張関係があったなんて全然知らなかった…

Hanpansu says:
刺激的な記事だね。翻訳ありがとう。私はナウシカを読んでいる間少しも違和感を感じなかった。その理由は多分私がフランス人だからだろう。私は対象により異なる読み方をしているからね。

フランスのコミックの個々のコマは、磨き上げられた作画・変動する物語・ときにはあからさまなストーリー説明の枠組みとして作用する。言い替えれば、読者は骨を折って絵と文章を解読しなければならない。このことは特に70/80年代のSFコミック―Druillet、BilalそしてもちろんMoebius―によくあてはまる。

宮崎は初期のMoebiusの作品から影響を受けていることを決して隠していない。2004年のエギジビションでのMoebiusと宮崎の対談を参照してほしい。ArzachやHorny GoofやAirtight Garageでの網掛けやケバを多用した濃密な描線がただちに思い浮かぶ。そんなわけで、私の見解ではナウシカは二つの異なる伝統を融合した作品だ。

同じことが大友克洋のAKIRAにも当てはまると思う。AKIRAは1991年に翻訳出版されフランスで最初に成功したマンガとなった。成功の理由は大友の作画スタイルがヨーロッパの手法に通じるものを持っていたからだ。皮肉なことに、最も初期にフランスで出版されたマンガのひとつ・手塚の火の鳥(1978年)は受け入れられなかった。

Smashingtofu
記事の翻訳に感謝する。とても面白いし色々考えさせられもした。私は駆け出しのアニメーター兼コミック作者なんだ。ここでの議論はとても的を得ているので楽しいよ。

私に言えるのは、コミックというのは驚くほど繊細な芸術であるという事、そして読者を惹きつけるための多くの異なる手法があるという事。作者の自覚と志向性も勘定に入れていいだろう。音楽と比較すると分かりやすいかな。音楽の好みは文字通り人それぞれ。だからジャンルや手法も多様になる。

Ian says:
実に興味深い講義だったにちがいない。
翻訳の許可をもらってくれて助かった。面白かったよ!

Leon Sadler says:
刺激的なエッセイを翻訳してくれてありがとう。
宮崎の空間と時間の描写の仕方が私が度々感じてきた「読みづらさ」をもたらしているという説明はとても興味深かった。

ところで私はマンガの描きかたを勉強中なんだけど、鉛筆で書くという考えはなかった!
ありがとう、竹熊健太郎!

Shii says:
結論は簡単だ。手塚はマンガの枠組みにマッチするストーリーを描かせたら宮崎よりはるかに優っている(劇的なロマンスや少年ストーリーはマンガ向きだ)。一方宮崎はスクリーン上でキャラクター中心の物語を作らせたら手塚にはるかに優る。

andrew osmond
とてもいい記事だ。読み終わった後、ナウシカを読み返してしまったよ。竹熊の言っている通り、初期にくらべて物語の終盤ではキャラクターがコマの中ではるかに目立つように変化してきている。コマとコマの間の滑らかな視点移動もそれに比例して良くなってきているようだ。

しかしながら、これはマンガの物語自体の重点の変化を反映しているように思える。竹熊は「作品の意図はキャラクターたちの関係性を描こうとする人間ドラマなのである」と言っているが同意できない。物語の初期においては人間ドラマは単なる一要素にすぎない。ここでは人間たちと(伝説が散りばめられた)幻想的な自然との間の関係性が重要な位置を占めているのである。一大スペクタクルが展開する世界であり、初期の大規模な戦闘シーンは映画のそれよりはるかに壮大であり詳細である。

物語の最初の三分の二においては、主人公は実際のところ状況に反応しているだけだ。最後になってようやく主人公は独自の個性を持った存在に変貌する(たとえば、メシアとみなされることを拒否する)。

要するに、描画スタイルの変化は宮崎の興味の重点の移り変わりを反映している。初期には世界自体、終盤には主人公に焦点があたっているのだから。


個々の作品を論じた分析は海外にもたくさんある。しかし漫画の手法に関してある程度深いところまで突っ込んで分析した考察はやはり少ない。竹熊健太郎の分析は知識が豊富すぎる日本のオタクにとってはそれほど目新しい点はないと思われるが、海外のファンにとってはけっこう新鮮だったようだ。

参考:
たけくまメモ
welcome datacomp
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Comment

  1. 2009.05.29 Fri 22:22  |  

    この記事が竹熊さんのサイトで紹介されてましたね。

    • #USldnCAg
    • 名無しさん
    • URL
    • Edit
  2. 2009.05.30 Sat 19:16  |  

    昔のオタクサークルの議論みたいで面白いな。
    英語できれば参加したいぐらい

    >竹熊は「作品の意図はキャラクターたちの関係性を描こうとする人間ドラマなのである」と言っているが同意できない。

    根拠を示さずに作品の意図に踏みこんだ竹熊も不用意だと思うけど
    日本のオタクならここにはあまり違和感持たなかったんじゃないかな
    アニメージュ版の一巻の巻末には宮崎のエッセイが載ってて、
    「(ホメロスではなく)自分流のナウシカを描きたいと思った」
    のが執筆動機だってはっきり書いてあるし。

    >描画スタイルの変化は宮崎の興味の重点の移り変わりを反映している。初期には世界自体、終盤には主人公に焦点があたっているのだから。

    面白い見解だけどここまで踏みこむだけの根拠もないような気がする
    世界観は「シュナの旅」等にすでに原型があるし。

    • #tHX44QXM
    • -----
    • URL
    • Edit
  3. 2009.05.31 Sun 00:00  |  

    こういうの大嫌い。
    実にくだらん。

    面白いか面白く無いかだけで勝負しろ。

    • #-
    • 名無しさん
    • URL
  4. 2009.05.31 Sun 00:10  |  

    「これ面白いよな」「うん面白いよな」以上の深い会話が出来ない池沼こそ引っ込んでろ

    • #-
    • 名無しさん
    • URL
  5. 2009.05.31 Sun 01:12  |  

    作品に興味が出てそれを掘り下げて知りたいのは至極当然
    だけど・・・ルルルル~
    やはり、他人に左右されることなく自分の感性を大事にすべきだよな
    どっちが優れているとかは問題じゃないんだよな

    • #-
    • 名無しさん
    • URL
  6. 2009.06.01 Mon 23:55  |  

    行き過ぎると偏狭なゲージツ論になって(それこそどこぞのオタキングみたいに)本質を見失う事になりがちだから気をつけないといけないけど。
    趣味の合う人間同士でこういう話は良いんじゃないか?
    自分も英語が出来たら参加したい。

    最近の日本は2ch(というかν速系)のノリを外部に持ち出す人間が多くてうんざりする事も多いからなあ。ここ2,3年で何があったんだ。
    まず人格攻撃から入るのは論理力の無さを露呈してるも同然だろうに……

    • #-
    • 名無しさん
    • URL
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